雨のなか






雨が降っていた
部屋のなか私はひとり
暗い部屋だった
外では子供たちの笑い声
それがより一層、私を惨めにさせる

雨が降っていた
私は部屋の暗さに耐えられず
外へと飛び出した
雨に打たれる
傘もささないわたしに
どこからかまた笑い声
私を笑っているのだろう
そう思った

そうであるにせよ
そうでないにせよ
私の惨めさは変わらない
ずうっとこのままだ
ずうっとこの先まで
ずうっと変わらない

衣服が雨に濡れて
身体のなかまで染みてゆく
心地悪さが
心地よさに変わる
この程度が私にはふさわしいのだと
身体中で感じるとき
こころまでではない
からださえ惨めに濡れるとき
私は不思議な快感を覚える

さっきまで惨めだったこころが救われるように
雨の来る昏い空のなかに一筋のひかりが見えるように
希望を見つける

「これでいいのだ」と
「大切なのはこれからだ」と
私の身体が私の生命が教えてくれる
それは決まってこんな雨の日だ
暗い暗い雨の日だ
何も見えない部屋のなかで私のこころ躍らせるのは
真っ暗な空の雨の日だ

こんな雨の日だ





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